古家具・ヴィンテージ家具の
樹種図鑑
欅・桐から北欧材まで——木を知れば、価値がわかる
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2026.05.13
読了目安 20分
木材の断面。年輪の密度・心材と辺材の比率・木目のパターンに樹種ごとの「指紋」がある(Photo: Unsplash)
古家具やヴィンテージ家具を選ぶとき、「いい家具だな」という直感は大切だ。しかしその直感を確信に変え、価格の妥当性を判断し、長く付き合うための適切なメンテナンスを選ぶには、樹種の知識が不可欠になる。
樹種を知ることは、次の3つの実践的なリターンをもたらす。
- 価値の見立て:同じ「箪笥」でも欅製と桐製とでは市場評価の軸が全く異なる。樹種を特定できれば、価格の根拠を自分で検証できる。
- 経年変化の予測:チェリーは数十年かけて劇的に暗く変化し、チークは屋外では銀色に変わる。この変化の方向性を知ることで、「育てる家具」を意識的に選べる。
- メンテナンスの適合:桐にオイルは不適切、ウレタン塗装材に蜜蝋は無意味——樹種と仕上げの組み合わせを知らないと、ケアが逆効果になる。
Janka硬度とは
本記事で参照する「Janka硬度」は、直径11.28mmの鋼球を木材に押し込む際の抵抗値(単位:lbf)で、木材の硬さの国際的指標。数値が高いほど硬く、傷がつきにくい。一般的な目安:500以下=柔らかい(桐・パイン)、500〜1200=中程度(杉・オーク・チェリー)、1200以上=硬い(欅・ウォールナット・チーク)。
日本の古家具・古道具は、その土地の気候・産業・美意識に合った樹種が選択的に使われてきた。用途と樹種の対応関係を理解することが、和家具鑑定の出発点だ。
欅(ケヤキ) Zelkova serrata
明瞭な放射孔圏材の木目。欅の特徴である環孔が年輪に沿って並ぶパターンが見える(Photo: Unsplash)
欅製と思しき重厚な木製引き出し収納。欅の箪笥は戦前品ほど板幅が広く、大径木の証を持つ(Photo: Unsplash)
Janka硬度
約1,000〜1,200 lbf(硬)
気乾密度
0.60〜0.72 g/cm³(重)
色調(新材)
淡褐色〜黄褐色
色調(経年後)
茶褐色〜赤褐色(深みが増す)
木目の種類
環孔材・明瞭な年輪
主な産地
日本全国(山形・岩手・長野が有名)
代表的な用途
箪笥・膳・建具・床框・欄間
価値傾向
高い(特に戦前品・玉杢入り)
希少性★★★★★
加工性★★★☆☆
耐久性★★★★★
経年変化★★★★★
欅は日本の広葉樹の中で最も尊重されてきた材だ。木目が明瞭で美しく、硬質・重量感があり、乾燥後の狂いが少ない。特に「杢(もく)」と呼ばれる特殊な木目——玉杢・縮み杢・鳥眼杢——が入る個体は国内外で格別の評価を受ける。
戦前品が別格とされる理由:戦後の乱伐と植林転換により、現代では大径の欅材の確保が極めて困難になった。戦前に製作された箪笥・膳・建具には、年輪が密で幅の広い板材が使われており、現代材とは密度・艶・経年変化の深みが根本的に異なる。「戦前欅」というだけで市場評価が跳ね上がる所以だ。
欅の見分けポイント
①重い——同サイズの他の日本材より明らかに重い
②環孔——年輪に沿って大きな導管孔が並ぶパターン(虫食いに見えるが木の構造)
③磨くと光る——表面が緻密で、研磨すると鏡のような艶が出る
④経年の赤み——古い欅は独特の赤褐色〜飴色を帯びる
桐(キリ) Paulownia tomentosa
桐製と思われる日本の箪笥(引き出し収納)。軽くて白い素地・繊細な仕上げが桐材の特徴(Photo: Unsplash)
Janka硬度
約300 lbf(非常に柔らかい)
気乾密度
0.24〜0.30 g/cm³(最軽量級)
色調
乳白色〜淡灰褐色
調湿性
◎(湿気を吸うと膨張し引き出しが自然に閉まる)
防虫性
◎(タンニン・パウロウニンを含有)
防火性
○(炭化層が延焼を遮断)
代表的な用途
和箪笥・小物入れ・琴・三味線の胴
価値傾向
中〜高(金物・蝶番の質が評価を左右)
希少性★★★☆☆
加工性★★★★★
耐久性★★☆☆☆
防湿・防虫★★★★★
桐は世界最軽量クラスの木材であり、日本の和箪笥文化の核にある素材だ。重要な機能は「調湿」——湿気を吸収すると引き出しが膨張して密閉し、乾燥すると引いて通気する。この機能が着物・絹製品の保管に最適とされてきた理由だ。
品質の見極め方:桐材の品質は「柾目か板目か」「節の有無」「白太(辺材)の混入量」で評価される。最高品は「節なし・白太なし・柾目」の三条件を満たす。三大産地——会津桐(福島)・南部桐(岩手)・越後桐(新潟)——の品はブランドとして高く評価される。
金物(取っ手・蝶番)の質も評価に大きく影響する。鉄鋳物・銅張りなど素材と加工の丁寧さで、同じ桐材の箪笥でも価格に2〜3倍の差が生じる。
栗(クリ) Castanea crenata
Janka硬度
約1,000〜1,100 lbf(硬〜中)
気乾密度
0.55〜0.65 g/cm³
色調
黄褐色〜明茶色、経年で褐色〜飴色化
耐水・耐腐性
◎(タンニン豊富、腐朽菌・白アリに強い)
代表的な用途
民藝家具・土台材・枕木・古道具
価値傾向
中(民藝的文脈では高評価)
栗は日本材の中でも最高水準の耐水・耐腐性を誇る。タンニンを豊富に含み、腐朽菌・白アリに対して天然の防御力がある。かつては鉄道枕木・橋桁・土台材として建築現場で重宝されたが、現代ではむしろ「素朴で重厚な民藝的美しさ」が評価される。
古道具市場では、栗材の飯台(折りたたみ脚付き卓)・民藝箪笥・土間道具が根強い人気を持つ。年輪が粗く素地感が強い——この「粗さ」が民藝愛好家には魅力として映る。
桑(クワ) Morus bombycis
Janka硬度
約1,100〜1,300 lbf(硬)
気乾密度
0.65〜0.80 g/cm³(重)
色調(新材)
淡黄色〜橙褐色
色調(経年後)
深い飴色〜琥珀色(変化が最も劇的な和材)
代表的な用途
薬箱・算盤・茶道具棚・小型箪笥
価値傾向
高い(老木材は特に珍重)
桑は蚕(カイコ)の食草として日本の養蚕業を支えた樹木だ。養蚕衰退に伴い桑畑が激減し、現在では大径の桑材そのものが希少。乾燥後の硬さと緻密さは和材随一と言えるレベルで、経年変化により新材の黄橙色から深い飴色・琥珀色へと変化する姿は他の木材では再現できない。
薬箱・算盤・茶道具棚など小型精巧な品に多く使われ、老木(40年以上の成木)の桑材は市場での引き合いが強い。
杉(スギ)・桧(ヒノキ) Cryptomeria / Chamaecyparis
日本の針葉樹材の板。杉は赤身と白太のコントラスト、桧はクリーム色〜薄桃色の均一な肌が特徴(Photo: Unsplash)
杉・桧のケアに使う柔らかいブラシ。針葉樹は傷がつきやすいため、メンテナンスは慎重に行う(Photo: Unsplash)
Janka硬度
約500〜700 lbf(柔〜中)
色調の特徴
白太(辺材)と赤身(心材)の明確なコントラスト
香り
独特の芳香(スギラクトン)
代表産地
吉野杉(奈良)・秋田杉・屋久杉(鹿児島)
代表的な用途
建材・桶・樽・長持・押し板
価値傾向
低〜高(産地・年輪密度により格差大)
Janka硬度
約900〜1,000 lbf(中〜硬)
色調
クリーム色〜薄桃色(均一で美しい)
香り
清涼な芳香(ヒノキオール)——桧風呂で有名
耐久・耐水性
◎(神社仏閣に千年以上使用される実績)
代表的な用途
神社仏閣・仏壇・膳・棚・風呂桶
価値傾向
高い(木曾桧・吉野桧は最高品)
杉は日本の人工林の代表樹種で、古来から桶・樽・建材に使われてきた。特に吉野杉の年輪密度の高さ(1cmに10〜20本もの年輪が刻まれる)は世界的に評価され、質の良い吉野杉材は高値で流通する。屋久杉(樹齢1000年以上の倒木・切り株)は文化財扱いで採掘が制限されており、既存品は別格の希少品だ。
桧は日本が世界に誇る木材の一つ。法隆寺・伊勢神宮など千年以上の建造物に使われ続けてきた耐久性の実績は他の樹種に比類がない。古道具では仏壇・厨子・精巧な棚類に使われており、桧の香りが残っているかどうかが古さ・保存状態の目安になる。
西洋の家具産業は「三大銘木」——ウォールナット・チーク・マホガニー——を中心に発展した。それに加え、北欧デザインを支えるオーク・ビーチ、アメリカンカントリーのチェリー・パインなど、樹種ごとに文化的背景がある。
オーク(ナラ) Quercus robur / Q. petraea
オーク材のテーブル。光の当たり方によって虎斑(放射組織)が輝く——これがオークの最大のアイコン(Photo: Unsplash)
異なる木材の比較。明るい木目がオーク系、濃い木目がウォールナット系——並べると色調の違いが一目瞭然(Photo: Unsplash)
Janka硬度
約1,290 lbf(硬)
気乾密度
0.65〜0.75 g/cm³
色調(新材)
淡黄褐色
色調(経年後)
蜂蜜色〜飴色(温かみが増す)
最大の特徴
虎斑(Tiger Ray)——柾目切りで放射組織が絹光沢のシルク状に現れる
タンニン含有
高い(金属に触れると黒変することがある)
代表的な用途
ウィンザーチェア・ドレッサー・クラフツマン家具
価値傾向
中〜高(虎斑の出方が評価を左右)
希少性★★★☆☆
耐久性★★★★★
加工性★★★★☆
経年美★★★★☆
オークは欧州家具史の中心にある樹種で、中世から現代まで途切れることなく使われ続けている。日本のナラ(水楢・ミズナラ)は欧州オークと植物学上異なる種だが、材質・外観・用途は非常に近く、ヴィンテージ市場では混同されることも多い。
虎斑(とらふ)の評価:柾目材(木目が平行に流れる切り方)に現れる虎斑は、放射組織(メドゥラリーレイ)が光を反射して絹のように輝くオーク固有の特徴だ。虎斑の密度・幅・輝きの強さが、同じオーク材でも価格を大きく変える。
ウォールナット Juglans nigra(ブラックウォールナット)
ウォールナットの深いブラウンの木目。チョコレート色の濃さと直通する木目が、高級家具材としての評価を不動のものにする(Photo: Unsplash)
Janka硬度
約1,010 lbf(中〜硬)
気乾密度
0.60〜0.68 g/cm³
色調(新材)
ミルクチョコ〜ダークブラウン
色調(経年後)
徐々に明るくなる傾向(紫外線による退色)
加工性
◎(彫刻・曲線加工に非常に適する)
現在の入手性
やや困難(1970年代以降の乱伐で希少化)
代表的な用途
高級チェア・デスク・キャビネット・銃床
価値傾向
常に高い。旧品需要が安定して旺盛
希少性★★★★☆
加工性★★★★★
市場人気★★★★★
ウォールナットは世界の家具材の中で最も安定した市場需要を誇る樹種だ。チョコレートブラウンの深い色合い・直通する滑らかな木目・彫刻への高い適性が、18世紀チッペンデール様式から20世紀ミッドセンチュリーモダンまで、時代を超えた家具デザインの主役であり続けてきた理由だ。
注意点:市場では「ウォールナット」として出回るなかに、アメリカンブラックウォールナット(Juglans nigra)とヨーロピアンウォールナット(Juglans regia)が混在する。前者の方が色が濃く重厚で、ヴィンテージ市場での評価が高い。
チーク Tectona grandis
温かみのある褐色のヴィンテージ椅子。チーク家具はオイルを含み独特の温かみとしっとり感がある——摩擦すると油脂が手につく(Photo: Unsplash)
Janka硬度
約1,155 lbf(硬)
天然油脂
◎(シリカ・テクトキノン含有——耐水・耐候性の源)
色調(新材)
黄金色〜明るい褐色
色調(経年後)
屋内:深い褐色。屋外:シルバーグレー
現在の入手性
困難(ミャンマー等で輸出規制——天然チーク新材入手ほぼ不可)
旧品需要
非常に高い(希少化により旧品プレミアムが上昇中)
代表的な用途
北欧ダイニング・南洋家具・船甲板・庭具
価値傾向
高い(天然チークは新材より旧品が希少)
希少性★★★★★
耐久性★★★★★
メンテ容易性★★★★☆
チークは三大銘木の一つとして世界的に評価される。その最大の特性は天然油脂(シリカ・テクトキノン)——これが腐朽・虫害・水分浸透を阻み、屋外での耐候性を飛躍的に高める。かつては帆船の甲板材として使われ、塩水・嵐・紫外線に何十年も耐えた実績がある。
見分け方:チーク材の最もわかりやすい特徴は「摩擦すると油脂が手につく感触」と「独特の革系の香り」だ。チークと偽ったアカシア・ゴムノキ製品も市場に存在するため、この官能的な確認が有効だ。
マホガニー Swietenia mahagoni / S. macrophylla
古典的なマホガニー調のインテリア。絵画・壁材・家具の赤褐色が統一されたヴィクトリアン様式の空間。マホガニーは英国アンティーク家具の代名詞(Photo: Unsplash)
Janka硬度
キューバン:約850 lbf ホンジュラス:約900 lbf
色調
淡赤褐色〜深い赤褐色(時間とともに濃くなる)
木目の特徴
緻密・直通、縞柄(インターロックド・グレイン)が出ることも
加工性
◎(彫刻・曲線加工に最も適した木材の一つ)
現在の入手性
キューバン:絶滅危惧種指定でほぼ流通不可
代表的な用途
英国アンティーク家具・チッペンデール・ヘプルホワイト様式
希少性(キューバン)★★★★★
アンティーク価値★★★★★
マホガニーは18〜19世紀の英国家具黄金期の主役材だ。チッペンデール・ヘプルホワイト・シェラトンといった様式の名品は、ほぼマホガニー製だと思って差し支えない。加工しやすく彫刻に適し、磨き上げると深みのある赤褐色が現れる——この美質が職人・顧客双方に愛された。
キューバンマホガニーの価値:もともとの「マホガニー」であるキューバン種(Swietenia mahagoni)は現在ワシントン条約の付属書Ⅱに掲載され、新材の国際取引が規制される。18〜19世紀の英国家具に使われているのはこのキューバン種であり、現代では入手不可能な素材で作られた「歴史の遺産」だ。
チェリー(ブラックチェリー) Prunus serotina
暖炉の前に置かれた温かみのある椅子。チェリー材は経年で新材のピンク色から深い飴褐色へと変化し、この「育ちゆく美しさ」が最大の魅力(Photo: Unsplash)
Janka硬度
約950 lbf(中)
気乾密度
0.55〜0.60 g/cm³
色調(新材)
淡いピンク〜明るい赤褐色
色調(経年後)
深い飴褐色〜ハニーブラウン(最も劇的な変化)
変色速度
速い——直射日光で数週間で変色が始まる
代表的な用途
シェーカー家具・コロニアル家具・小型棚・フレーム
経年変化の劇的さ★★★★★
加工性★★★★☆
市場人気★★★★☆
チェリーは全樹種の中で最も劇的な経年変化を見せる木材だ。新材のピンクがかった明るい赤褐色が、数年〜数十年かけて深い飴褐色・ハニーブラウンへと変化する。「時間とともに美しくなる」という木材の醍醐味を最もわかりやすく体現する種と言える。
シェーカー教徒が作る清廉で機能的なシェーカー家具の主材として有名で、装飾を排したシンプルなデザインとチェリーの素材美の組み合わせは20世紀以降も愛好家を増やし続けている。
ビーチ(ブナ) Fagus sylvatica
明るい木色の北欧ヴィンテージ家具。ビーチ(ブナ)はハンス・ウェグナー・フィン・ユールら北欧デザインの巨匠たちが愛した木材(Photo: Unsplash)
Janka硬度
約1,300 lbf(硬)
色調
クリーム色〜淡褐色(均一で穏やか)
木目の特徴
細かく均一・微細な放射紋(オークの虎斑より細かい)
曲木適性
◎(蒸煮曲木に最も適した木材——トーネットチェアの主材)
代表的な用途
北欧ヴィンテージ・トーネット・シート材・フレーム
価値傾向
中(北欧デザイナー品は価格が跳ね上がる)
北欧ヴィンテージでの地位★★★★★
曲木適性★★★★★
ビーチは20世紀北欧デザインの根幹を支えた木材だ。ハンス・J・ウェグナー(Yチェア)・フィン・ユール・ボーエ・モーエンセンらデンマーク・スウェーデンのデザイナーがビーチを選んだのは、その均一な密度と蒸煮曲木への高い適性が理由だ。また19世紀にミヒャエル・トーネットが開発した「曲木椅子(トーネットチェア)」は、ビーチ材なしに存在しなかった。
パイン(松) Pinus sylvestris / P. radiata 他
パイン材を多用したカントリー感のある棚コーナー。節の多さと温かみのある黄みがパイン家具の「素朴な豊かさ」を演出する(Photo: Unsplash)
Janka硬度
約870〜1,000 lbf(中——ただし樹種による差大)
色調(新材)
淡黄色〜クリーム色
色調(経年後)
黄飴色(蜂蜜色)——節周辺が特に味わい深く変化
節の特徴
多い——これが素朴な美しさの源だが、品質評価では「節少ない=高品質」
代表的な用途
カントリー家具・フレンチカントリー・北欧民藝・キャビン家具
価値傾向
低〜中(入手しやすく入門向き)
入門しやすさ★★★★★
経年変化の面白さ★★★★☆
パインは手頃な価格でヴィンテージ家具の世界への入り口となることが多い樹種だ。フランスのプロヴァンス地方家具・スコットランドのカントリー家具・北欧の農家具など、それぞれ「素朴な地域文化」を体現する素材として重宝された。節の多さは欠点ではなく「個性」——一本一本異なる節のパターンが機械的均一性への対極として愛される。
古道具を検分する場面。樹種の見極めは「色・重さ・木目の構造・触感・匂い」の5つの感覚を総動員する(Photo: Unsplash)
経年劣化した木材。傷・割れ・変色パターンは樹種を特定するヒントになると同時に、保存状態を評価する根拠にもなる(Photo: Unsplash)
① 色と光沢で絞り込む
| 色調 |
候補樹種 |
さらに絞り込む鍵 |
| 乳白〜クリーム |
桐・ビーチ・桧 |
超軽量→桐、硬くて細かい→ビーチ、香り→桧 |
| 淡黄〜クリーム(節あり) |
パイン・杉 |
節の形が丸く独立→パイン、赤身と白太のコントラスト→杉 |
| 黄褐〜蜂蜜色 |
オーク・栗・チェリー(新材) |
虎斑→オーク、重くてタンニン臭→栗、軽い変色ムラ→チェリー |
| 橙〜飴色(深み) |
桑・チーク・チェリー(経年) |
油脂感→チーク、緻密で重→桑、変色ムラ→チェリー |
| 茶〜赤褐色 |
欅(経年)・マホガニー |
重くて環孔→欅、軽くて直通木目→マホガニー |
| チョコ〜ダークブラウン |
ウォールナット |
ほぼ特定。木目の直通度・重さで確認 |
② 重さで判断する
同サイズの板材を持ち比べることで、密度の差が即座に感じられる。おおよその重量感の指標:
- 非常に軽い(密度0.3以下):桐
- 軽い(0.3〜0.5):杉・パイン
- 中程度(0.5〜0.65):桧・チェリー・ウォールナット・チーク
- 重い(0.65〜0.75):オーク・欅・ビーチ
- 非常に重い(0.75以上):桑
③ 木目の構造を観察する
木目の構造は「孔圏材か散孔材か」で大分類できる。
- 環孔材(年輪に沿って大きな導管孔が並ぶ):欅・栗・オーク・マホガニー
- 散孔材(導管孔が均一に分散):ウォールナット・チェリー・ビーチ・桐・桑
- 仮道管型(導管なし・針葉樹):杉・桧・パイン
柾目切り(板目でなく木の中心から放射状に切った面)では、オークの「虎斑」やビーチの「微細放射紋」など樹種固有の模様が現れる。
④ 匂いを嗅ぐ
古い木材でも切断・研磨面からは香りが残ることが多い。
- 桧:清涼な芳香(ヒノキオール)——風呂に入れた時の香り
- 杉:独特のやや甘い芳香(スギラクトン)
- 桐:微かな墨・枯れ草のような香り
- チーク:革・オイル系の独特な香り
- ウォールナット:微かなナッツ系の香り
判断に迷ったときの最終手段
確認したい面を400番以上のサンドペーパーで軽く研磨すると、色調と木目の構造・香りが鮮明になる。ただし価値ある古道具の表面を研磨する行為はパティナを失う可能性があるため、必ず目立たない裏面・底部で行うこと。
木製家具の日常メンテナンス。樹種・仕上げに合ったケア方法を選ぶことが、長期保存の鍵(Photo: Unsplash)
| 樹種 |
推奨ケア |
避けるべきケア |
注意点 |
| 欅 |
乾拭き・年1〜2回のオイル仕上げ |
水拭き過多・水没 |
経年の赤みを保つため直射日光を避ける |
| 桐 |
乾拭きのみ |
オイル・ワックス全般(繊維を塞ぎ調湿機能が失われる) |
水染みが付きやすい。砂消しゴムで軽くこすると取れる場合あり |
| 栗・桑 |
乾拭き・蜜蝋ワックス |
アルカリ系洗剤(タンニンが反応して黒変) |
鉄製品と長期接触で黒く変色する(タンニン+鉄の反応) |
| 杉・桧 |
乾拭き・柔らかいブラシ |
硬いブラシ・研磨(柔らかいため傷がつきやすい) |
水分を吸収しやすい。水拭き後は必ず乾燥させること |
| オーク・栗 |
乾拭き・オイル仕上げ・蜜蝋 |
アルカリ洗剤・鉄製品との長期接触 |
タンニン豊富——金属と触れると黒変することがある |
| ウォールナット |
乾拭き・亜麻仁油(年1回) |
直射日光の長期当たり(色が抜ける) |
経年で色が明るくなる方向性を意識してケアする |
| チーク |
乾拭き・チーク専用オイル(年1〜2回) |
一般ワックス(天然油脂と相性が悪い場合あり) |
放置してもほぼ腐らないが、定期ケアで色艶が維持できる |
| マホガニー |
乾拭き・蜜蝋・シェラックニス補修 |
ウレタン塗装(オリジナル仕上げを損なう) |
シェラックニス仕上げのアンティーク品はアルコール厳禁 |
| チェリー |
乾拭き・蜜蝋(薄く) |
直射日光の突然の当たり(急激な変色ムラが出る) |
変色は避けられない——均一に変色するよう全体に均等な光を当てる |
| ビーチ |
乾拭き・オイル仕上げ |
高湿度環境の放置(動きが大きい) |
湿度変化に敏感。安定した環境での保管が重要 |
| パイン |
乾拭き・蜜蝋・オイル仕上げ |
水染み・打撃(柔らかく傷がつきやすい) |
傷・凹みも「経年の味」として楽しむ心構えが必要 |
仕上げ種類を先に確認すること
メンテナンスを始める前に、現在の仕上げ(オイル・蜜蝋・ラッカー・ウレタン・漆)を確認することが先決だ。仕上げの種類によって、適切なケア方法が全く異なる。確認方法は
「古道具の木材メンテナンス」を参照のこと。
UNFASHIONの家具・木工コレクション
欅・桐・桑・オーク・ウォールナットなど、本記事で紹介した樹種の古家具・古道具を実際に取り扱っています。