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文様・紋様の読み方入門
— 家紋・吉祥文・有識文様・唐草の意味と識別

骨董品や着物に描かれた文様には、それぞれ固有の名前・意味・格があります。文様を「読める」ようになると、器・着物・染め物の見方が一変します。縁起・魔除け・身分の表示——日本の文様はただの装飾ではなく、意味の体系を持つ「視覚の言語」です。

家紋(かもん)の基本

家紋は武家・公家・商家が家の識別符号として使用した図案です。現在、日本には約2万種以上の家紋が存在するとされます。構成要素は「植物紋・動物紋・器物紋・文字紋・幾何文」の五大分類に分けられ、それぞれ派生変形紋が無数に存在します。

家紋の種類代表例代表家・使用者
菊紋(菊花紋)十六菊・八重菊天皇家の御紋章(菊の御紋)
葵紋(三つ葉葵)三葉葵徳川将軍家の家紋
桐紋(五七の桐)五七桐・内閣桐豊臣秀吉→現在の内閣・政府紋章
橘紋丸に橘橘氏・多くの武家
木瓜紋(もっこうもん)五木瓜・九木瓜織田信長・武田信玄

吉祥文様(きっしょうもんよう)

縁起が良い・長寿・豊穣・幸運を象徴する文様の総称です。着物・陶磁器・漆器・金工品に広く用いられます。

文様名意味・象徴
松竹梅(しょうちくばい)寒さに強い三者。忍耐・高潔・友情・長寿
鶴亀(つるかめ)長寿・吉祥の代表的組み合わせ
宝尽くし(たからづくし)打出の小槌・宝珠・隠れ蓑など七宝を並べる縁起文様
鳳凰(ほうおう)聖天子の出現・平和の象徴。麒麟と並ぶ瑞獣
龍(りゅう)皇帝・神力の象徴。五爪(皇帝)・四爪(王侯)・三爪(庶民)
波千鳥(なみちどり)波間を飛ぶ千鳥。夫婦・家族の絆・安全
扇(おうぎ)末広がり。繁栄・拡大

有識文様(ゆうそくもんよう)

平安時代に公家社会で定められた格式ある文様体系です。衣装・調度・建築に使用され、身分・官位に応じた使用規定がありました。

文様名特徴・格
立涌(たてわく)対になる曲線が繰り返す。高位の装束・最高格の文様
小葵(こあおい)葵の葉を連続させた格式高い文様
亀甲(きっこう)六角形の連続文様。長寿・堅固
七宝(しっぽう)円を四つ連続させる文様。縁が切れない・縁起
菱(ひし)斜方形の連続。多くの派生紋(花菱・剣菱・武田菱)

着物の格式を判断するには文様が重要な手がかりになります。有識文様・吉祥文様を金彩・刺繍で表した「訪問着・留袖」は礼装格、小紋は日常着格というように、文様の格と格式が対応しています。

唐草文様(からくさ)と更紗文様

唐草は植物の茎・葉・花が渦巻状に連続する装飾文様の総称で、中東起源を持ちシルクロードを通じて東アジアに伝わりました。日本でも奈良時代から正倉院宝物に見られます。更紗(さらさ)はインド起源の多色染め文様の総称で、草花・動物・幾何文様が複雑に組み合わさっています。

陶磁器の文様を読む

陶磁器の絵付け文様にも体系があります。染付(コバルト青)の文様は山水・花鳥・人物・文字の四類型が基本。中国磁器では「龍鳳凰・八仙・博古図・山水図」が格式高いモチーフ、日本の伊万里では「草花・鶴・松竹梅・古典文様」が好まれました。文様の題材・構成・筆致を読むことで窯・時代・格式が判断できます。

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