UNFASHION
0

釉薬の種類と窯変の見方入門
— 灰釉・鉄釉・志野釉・天目・銅釉を識別する

釉薬(うわぐすり/ゆうやく)は焼き物の表面を覆うガラス質の層です。素地の土の色・質感を保護するだけでなく、釉薬の種類・焼成温度・雰囲気(酸化/還元)によって無限の色・質感・景色を生みます。釉薬を「読む」ことは焼き物鑑賞の核心です。

釉薬の基本——何が色を決めるか

釉薬の色は主に「金属酸化物」によって決まります。鉄(Fe)は茶・黒・緑を、銅(Cu)は緑・赤を、コバルト(Co)は青を、マンガン(Mn)は紫・茶を生みます。同じ釉薬でも「酸化焼成」(酸素十分)と「還元焼成」(酸素不足)では発色が変わります——銅釉は酸化で緑、還元で赤(辰砂)になります。

主要釉薬の種類と識別

釉薬色・質感代表産地・作品
灰釉(かいゆう)植物灰の自然な発色。緑〜茶〜黄緑。透明感がある越前・瀬戸・信楽の灰釉、黄瀬戸
鉄釉(てつゆう)鉄分が多いほど黒化。飴色・黒褐色・赤褐色天目・瀬戸黒・常滑・弁柄釉
天目釉(てんもくゆう)鉄多含の鉄釉が高温で溶流。黒地に茶・金・青の斑紋中国天目(建窯)・瀬戸天目
志野釉(しのゆう)長石主体の白釉。肌色〜白に焦げ・オレンジ斑。ぽってり厚い美濃(瀬戸・多治見)の志野焼
白釉(はくゆう)長石釉に錫白・ジルコン等を加え不透明な白に肥前磁器・三川内焼の白磁
銅釉・辰砂(どうゆう・しんしゃ)酸化→緑、還元→赤(辰砂)。偶然性が強い均窯(中国)・交趾焼・辰砂釉作品
藁灰釉(わらはいゆう)藁の灰を使った柔らかい青緑〜乳白色萩焼・萩白釉・各地民窯

窯変(ようへん)の種類

垂れ(たれ)

釉薬が高温で液状になり、重力で下へ流れ固まった景色。器の下端に固まった「玉(たま)」と呼ばれる膨らみが生じることがあります。備前の「火前(ひまえ)」のような場所による偶然の流れも含みます。

窯変(色変化)

焼成中に雰囲気(酸化・還元・中性)が変化することで予期しない発色が生まれます。「ビードロ(ガラス状の水色〜緑)」は備前の窯変の一つで、灰が器に降積もって溶け固まったものです。

炭化・緋色(ひいろ)

薪が直接当たった部分(火前)と当たらない部分(火後)で色差が生まれます。備前の「緋襷(ひだすき)」は藁を巻いた部分が緋色になる現象で、薪の燃焼・炭素・炎の当たり方が複合して生まれます。

「景色(けしき)」とは焼き物の表面に生まれた窯変・釉薬の流れ・土肌の凹凸などの総称です。茶道では景色を特に重視し、景色の美しい器には「銘(名前)」が付けられて大切にされます。

釉薬から産地・時代を読む

釉薬の化学成分は産地ごとに原料(石灰・木灰・長石・鉛)の比率が異なります。専門家は釉薬の「貫入(かんにゅう=ひびのような細かい割れ目)」のパターン・釉薬の厚み・発色の均一性から産地・時代の判断を行います。萩焼の「七化け(経年で釉薬の色が変化する)」など、時代を経た釉薬の変化も鑑賞の一つです。

DEEP DIVE

日本六古窯と窯の種類——焼成方式が釉薬に与える影響

穴窯・登り窯・電気窯の焼成方式の違いと、それが自然釉・窯変にどう影響するかを詳しく解説しています。

六古窯ガイドを読む →

骨董陶磁器・焼き物を探す

目利きが選んだ日本の陶磁器をオンラインで閲覧できます。

陶磁器を見る →